シミックCMO社に学ぶ、現場が主役のRPA改革の進め方
シミックCMO株式会社 様
Peaceful Morning株式会社では、RPA・UiPathのオンラインサポートサービス「Robo Runner」を提供しています。本インタビューでは、「Robo Runner導入事例」として実際の利用者様のリアルな声をお届けします。
今回インタビューを受けてくださったのは、現場ユーザー様がRPA開発を進めているシミックCMO株式会社の皆さま。Peaceful Morning代表の藤澤 専之介がお話を伺いました。
■インタビューにご協力いただいた皆さま
村上 洋郎様:シミックCMO株式会社コーポレートQC部部長、兼足利工場品質管理部部長
酒井 晃様:シミックCMO株式会社、足利工場品質管理部品質管理二課
佐々木 駿様:シミックCMO株式会社 足利工場管理部企画課
溝口 正幸様:シミックCMO 株式会社 ICT部マネージャ
有冨 恵様:シミックCMO株式会社 ICT部
社内に根付く改善文化を活かしてRPAをスタート
ーシミックCMO株式会社の事業についてご紹介いただけますでしょうか。
村上様:シミックCMO株式会社は、製剤設計・治験薬製造・商用生産において各種剤形に対応したトータルソリューションを提供しており、国内4工場と海外2工場の計6工場で世界を見据えたCDMO(医薬品受注製造)事業を展開するという目標に向かって活動しております。
ー2021年から始まるRPA導入の背景・これまでの歩みを教えてください。
村上様:RPA導入の背景として当社では①受注が順調に進展し製造現場の稼働が高くなる、②少子化の影響により製造現場の要員確保が難しくなってきている、等の課題を潜在的に抱えていました。そこで2021年度からRPA・UiPathの導入に取り組んでおり、各工場においてまずは※GxP非対象業務におけるRPA活用を進めています。
具体的には、規制が絡むことのない一般業務においてRPAの得意とする①集計・出力、②突合・判断、③入力代行等の業務のRPA化を行っています。
また、狙いとしては単なる効率化だけではなく、業務改革を行うことでRPAに乗せやすい手順を作りながら進めるという点を意識しています。工場内には様々な利害関係者がいるため、RPAを活用するための組織作りやルール作りを行いながら、工場内のそれぞれの部署が起案したテーマ・業務について業務改革をしながら現場中心でロボット化を進めています。
※GxPとは
Good x practice(適正 x 基準、優良 x 規範)の略で、安全性や信頼性を確保することを目的に政府等の公的機関で制定する基準を表す言葉の略称
ー貴社においてはそれぞれの部署の方が自らロボット開発を進める「現場が主役のRPA」が印象的です。なぜ現場主体なのでしょうか。
村上様:ロボットありきではなく業務改革から進めていきたいと考えた時に、一番業務内容を理解している現場が主体となって行うことが重要であると考えました。業務を知っているからこそ、あるべき業務フローや効率化の発想を持つことができます。
また、属人化してしまっている作業も現場にはあるため、RPA化を進めることで属人化した業務を一般化することにもつながります。
溝口様:シミックCMOの各工場では改善意識を大切にしています。これまでも「Kaizen Challenge」とよばれる、現場での改善活動の取り組みがあり、日々の業務を改善し、改善の取組みを称賛する文化がありました。当社の持つ文化としても現場主体の取り組みがマッチしていると考えていました。
RPA知識がまっさらでもロボット開発が前へ進む体制を整備
ー現場の方のUiPath開発サポートとして「Robo Runner」をご利用いただいています。導入のきっかけを教えていただけますでしょうか。
溝口様:もともとは親会社のシミックホールディングスで導入していたRobo Runnerを紹介いただいたのがきっかけでした。当社のRPA浸透スタイルが現場主体で、現場自ら改善意識をもってやって進めていくものと考えた時に、ICTで代理開発を行うよりも現場自ら学んで進める体制のほうが効果的であると考えました。
またICTとしてもリソースが足りない部分があり、UiPathの使い方についてはプロの方に教えてもらいながら現場に浸透していく方向性が良いと感じ導入を決めました。
ー現場で業務改善、ロボット開発を進めている酒井様、佐々木様はどのようにRPAを始めていかれたのでしょうか。
酒井様:私は品質管理部にて医薬品の試験の仕事をしています。品質管理部でも業務の中でRPAを取り入れて効率化していく動きがあり、チームメンバーの中でどの業務がRPA化できるかを話し合っていました。自分たちはRPA・UiPathを初めて聞き、操作もなにもかもわからないという状況であったため、Robo RunnerのサポートをうけながらUiPathを始めることにしました。
佐々木様:私は普段は工場内で経理業務を担当しています。上長の方から定型業務を効率化していこうという話があり、そこでRPAを知りました。RPAを始めるにあたり、プロに伴走サポートいただけるRobo Runnerを活用することで多く知見が得られ、得た知見を自分だけでなく部署や同じフロアの人に共有していければと考えて進めました。
ー実際にはどんなロボットを作ることができたのでしょうか。
酒井様:私は印刷・入力を代行するようなロボットを開発しました。Robo Runnerを利用することで「RPAでこういうことをやりたい」というのをRPA・UiPathの知識がまっさらな状態であってもサポーターの方から教えてもらえて効率的に進めることができました。UiPathロボット開発のやり方を教わりながら前に進めることができました。
佐々木様:私は毎月行っている経理業務の入力代行ロボットを開発しました。また自動印刷のロボットについてはより効率的に動かすための改善ポイントについてもアドバイスいただきました。Robo Runnerの担当サポーターに自分の思い描いている業務の話をしたら、的確にロボットの作り方を教えてもらうことができました。メンタリングの中で1人ずつ質問ができる時間があったのでそこで疑問点がクリアになったと思います。
ーRPAを推進する立場である有冨様から見たRobo Runnerはいかがでしょうか。
有冨様:私は本社のICT部にてRPA事務局に所属しています。当社内でどのようにRPAを進めていくかのルール作りや現場の方が進める上での困りごとを解決する必要があります。
現場の方がロボット開発をする上での困りごととして、UiPathを使ってわからないことがあった場合、インターネットで探して解決方法が見つかることもありますが、上手く見つからないと時間がかかってしまいます。そこをRobo Runnerに聞けばすぐに解決出来るなと感じました。
また学習初期の場合、気軽に聞きづらい部分がありますが、Robo Runnerのメンタリングタイムでは抵抗感なく質問することができ非常に良いと感じました。私自身も推進担当者として聞きたい質問が多くあり、UiPathライセンスの切り替え等さまざまなアドバイスをいただいています。
対象工場、業務の拡大を通じて更なるRPAの浸透へ
ー現場の方が主体となり、着実にRPAが前に進んでいる姿が印象的です。今後どのようにRPAを社内で発展させていくかについて展望を教えてください。
村上様:現在、国内の4工場中3工場でRPAの導入を進めていますが、これを4工場まで拡げていく方針です。また、業務効率化の切り口で技術者同士の交流を進めることで全体の効率化を図っていきたいと考えています。
もう1つ、単純に作業の代行ロボットだけでなく、多くのシステムを使っているためシステム間連携の点でもロボットの活用にチャレンジしていきたいです。
溝口様:当社では現場が主役のRPA改革が少しずつ前に進んでいます。現場の担当者の方には、プロのサポートがあるので安心してロボット開発に取り組む環境が整っていることをPRして、よりRPAを活用いただけるようにしていきたいと考えています。
ーインタビューにご協力いただきましてありがとうございました。
いかがでしたでしょうか。
シミックCMO様では、企業文化である「現場改善の風土」をうまく活かしながら、現場が主体の業務改善活動とRPA開発を進めています。
現場が主体のRPA改革には①ベースとなる社内の文化と②現場を支えるRobo Runnerのようなサポートが欠かせません。本記事を社内でRPAを推進する上でのヒントにしていただき、現場へのサポートにご興味をお持ちの方はRobo Runnerのご活用を検討くださいませ。